お知らせ

「高齢者の生活習慣病に対する鍼灸治療」①

少し前ですが、兵庫県鍼灸マッサージ師会主催の「夏期大学講座」に参加してきました。

毎年、鍼灸の学術のみならず、最新の医療や研究についての講座があります。

今年は日程が合わず、1日のみの参加でした。

 

その中でも、主に高齢者の生活習慣病に対する鍼灸治療についてのお話がとても勉強になりました。

備忘録を兼ねて紹介したいと思います。

 

生活習慣病とは?

「食事」「運動」「飲酒」「喫煙」を原因とする病気のことです。これに歯周病が加わることもあります。

 

「喫煙」が主な原因の病気は?

COPD(慢性閉塞性肺疾患)と言います。

肺気腫と慢性気管支炎を合わせた呼び方で、肺の機能が低下し、回復することはありません。

肺胞という、肺の中で酸素と二酸化炭素のガス交換をする部分が破壊されてしまうからです。

中年以降の喫煙者に多いと言われています。COPD患者の90%が喫煙者です。

 

症状は?

①「体に酸素が足りない状態」が起こります。少し動いただけでも呼吸がしんどく(労作時呼吸困難)、

肺が縮まないために息を吐き出すのが難しくなります(呼気延長)。手足が冷えやすくなります。

②肺が硬くなり、横隔膜が働きにくくなるので、呼吸は主に首の筋肉(呼吸補助筋)を使ってすることになります。→そのために肩が凝りやすく、エネルギーもたくさん使います。→すると食事を多くとる必要が出てきて、胃も大きくなります。→胃が大きくなるとすぐ上にある横隔膜が下がりにくくなり、食欲が低下、痩せるために免疫力が低下します。

③肺に囲まれている心臓のスペースが狭くなり、肺性心という状態を起こし、心不全(右心不全)を起こします。

④気道に炎症が起こり、がたまったり気道の壁が厚くなることで狭くなります

 

鍼灸での治療

現代医学でもそうですが、鍼灸でも破壊された肺胞を元に戻すことはできません

根本的な治療は難しいですが、上記の症状を軽減することは可能です。

 

①東洋医学的アプローチ

「水分代謝」と「痰」に着目します。

東洋医学でいう「痰」とは、「湿邪」が目に見える形で形成されたもの、という考え方です。血栓や脂肪も「湿邪」から起こるものとされています。正常な水の流れが滞ることで痰が発生し、気道を塞ぎます。

呼吸や水分代謝に深く関わるのは「肺」「脾」「腎」という内臓です。東洋医学では「臓腑」と言います。厳密にいうと現代医学のそれとは違う部分もありますが、これらの機能やバランス関係が正常化するように鍼灸で働きかけます。

 

東洋医学の特徴である、「周囲の環境」や「感情」___

②呼吸補助筋の機能回復

肺が動きにくくなると、首の筋肉を使って呼吸しようとします。呼吸のたびに首の筋肉に力が入るのですから、緊張でカッチカチに硬くなります。鍼灸でこれらの筋肉を緩めて、呼吸をしやすくします。

 

③全身症状の処置

食欲の低下、肩こり、冷え性などにも鍼灸がよく効きます。体力の低下を防いで感染症を予防する目的があります。

 

鍼灸は体の機能を回復したり、緊張を緩めたりすることに効果を発揮します。

「呼吸リハビリ」などを併用してより呼吸しやすい状態を作っていきます。

呼吸は生きていく上で休むことのできないものです。呼吸がしにくいと身体的にも精神的にも大きなストレスを感じることになります。苦しい症状を少しでも楽にできるよう、お力になれればと思います。