お知らせ

高齢者の生活習慣病に対する鍼灸治療③

③フレイル

 

「年だからしかたがない?」

これは臨床の現場でよく聞かれる質問ですが、

当院ではこれは「半分正解、半分間違い」と答えています。

なぜなら、年齢とともにある程度、体の機能は低下します。

しかし、「下るに任せて何もしない」のと「自分の状態を認識してケアをする」のではその後の人生に雲泥の差が生まれます。これは当院が実際に見てきて感じることです。

 

フレイルとは?

「高齢者の身体機能が低下してきて、身体的精神的なストレスに弱くなり、要介護状態や死亡などの転機に陥りやすい状態」

と定義されています。

つまり、「健康な状態」と「要介護・要支援」との間にあたる状態を指し、身体機能の低下、口腔機能の低下、抑うつ気分などが起こります。

大事なのは、フレイルは「しかるべき介入により、再び健常な状態に戻ることができる」という点です。

つまり「きちんとケアすれば良くなる」ということです。

 

下り坂ではなく「らせん階段」

フレイル状態から要介護状態に進んでしまう経過として「フレイルサイクル」と呼ばれる現象が分析されています。

図(兵鍼講座第42号より引用)

心身のさまざまな活動や代謝の低下が互いに関連してさらなる低下を招き、ついには復帰困難な状況になる、というものです。

普段元気な高齢者でも、ケガや病気で入院したり寝込んだりすると一気にフレイルの状態に陥る恐れがあります。1週間も動かないと筋力が明らかに低下します。

 

改善のために大切なポイント!

フレイルサイクルで重要なポイントは2つあります。

それは「サルコペニアと低栄養」です。

①サルコペニア

「筋肉が減少している状態」のことです。簡単な判断基準としては

「歩くスピードや距離が落ちている」

「階段の上り下りがつらい」

「握力が落ちている」

というものがあります。

 

②低栄養

筋力やカラダのチカラを発揮するためにはきちんと栄養を摂ることが重要です。極端に食事を制限したり偏った食生活だと、筋力を発揮することが出来ません。

良く噛んだり、嚥下(飲み込み)の機能も大切です。

 

フレイルの克服=健康寿命の延長!

どんな症状、状態にも言えることですが、早期の対処はとても重要で有効です。

日本の平均寿命は現在世界一ですが、特に不自由なく暮らせる「健康寿命」はそれより10年短い、という報告があります。

(厚生労働省 「平均寿命と健康寿命を見る2」

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/chiiki-gyousei_03_02.pdf

この「健康寿命」を長くするために、フレイルの状態を克服することはとても大切です。

 

鍼灸に出来ること

明治国際医療大学付属鍼灸センターの研究によると、高齢者に鍼灸治療を行うと

「フレイル状態の方の多くに筋力やバランス機能の改善がみられ、フレイルでない方には状態の維持がみられた」という結果が出ています。

鍼灸の刺激が循環を改善し、必要以上に低下していた筋肉の出力などの機能が向上したと思われます。

鍼灸と運動や体操などを併用していけば、より良い結果が得られると思われます。

 

 

参考:フレイルの判定基準  ※3つ以上で該当

①6ヶ月で2~3㎏の体重減少

②握力の低下(男:26㎏未満、女:18未満)

③ここ2週間以内で、原因が分からない疲労感

④歩行速度1m/秒未満(横断歩道が渡り切れない)

⑤普段から「軽い運動」「定期的な運動」をしていない